歯の神経を
治療する根管治療とは
重度のむし歯が進行し、歯の神経まで侵された場合、むし歯菌は根管内に侵入します。根管は複雑な形状をしており、歯を残すためには神経を取り除いて根管内を洗浄・消毒する「根管治療」が必要です。この治療により、歯を抜かずにむし歯の進行を止めることができます。根管治療後は被せ物を取り付けることで、歯の機能性と審美性が回復し、自然な噛み合わせを取り戻すことができます。
根管治療が必要な症状
- 歯が浮いている感じがする
- 噛むと痛みや響きを感じる
- 歯肉の根の辺りが腫れ、白い点状のものが見られる
- 激しい痛みがある
- むし歯が重症化している
- 歯が変色し、神経が死んでいる可能性がある
精密根管治療の特徴
根管は非常に細かく入り組んだ構造をしているため、従来の治療では根管内の感染組織を完全に取り除くことが難しく、再感染のリスクが常につきまといます。また、根管内に器具を挿入するためには繊細な操作技術が必要であり、技術的な課題が治療の成功に影響を及ぼすこともあります。精密根管治療では、これらの課題に対処するためにさまざまな工夫がなされています。まず、根管内の構造を詳細に観察するために、拡大鏡やマイクロスコープなどの装置を使用します。これにより、根管内部をより鮮明に観察し、感染組織の存在や位置を正確に把握することができます。これにより、再感染のリスクを大幅に低減し、治療の成功率を高めることができます。
マイクロスコープを使用した治療
当院では、より精度の高い治療を行うためにマイクロスコープを活用しています。マイクロスコープは歯を約3~21倍に拡大し、細部まで確認することができる実体顕微鏡の一種です。
この装置を用いることで、肉眼では見えない細かな凹凸や隠れた内部の構造を観察することが可能になります。例えば、被せ物のフィットの状態や歯の微細な欠陥などを見逃すことなく診断できます。マイクロスコープを使用することで、診断の精度が飛躍的に向上し、より正確な治療計画を立てることができます。また、マイクロスコープで観察した映像を患者さまにもモニターで見せることができるため、治療内容や状況を分かりやすく説明することが可能です。当院では、最新の技術を活用し、患者さまにより安心で快適な治療を提供することを心がけています。
歯科用CTによる詳細な診断
当院では、治療の精度と成功率を向上させるために、歯科用CTを活用した詳細な診断を行っています。根管内の構造は複雑で暗く、従来のレントゲン写真では見逃してしまう部分もあります。そこで、歯科用CTを用いることで、3次元の立体的な画像を取得し、根管内や顎の骨の状態を詳細に調べることができます。これにより、治療計画の立案や手術の精度が向上し、治療の成功率が飛躍的に高まります。
ラバーダムによる感染対策
治療中の感染リスクを低減するために、ラバーダム防湿法を積極的に導入しています。ラバーダム防湿法は、治療する歯をゴム製のシートで覆い、周囲の唾液や細菌の侵入を防ぐ方法です。治療中に根管に唾液が侵入することで感染リスクが高まり、根管内の無菌化が失敗する可能性があります。ラバーダムを使用することで、このリスクを大幅に低減し、根管治療の成功率を向上させることができます。当院では、徹底した感染対策により、患者さまの安全を確保した効果の高い治療を行っております。
ニッケルチタンの使用
当院では、根管内の清掃にニッケルチタンファイルを使用しています。これは柔軟性に優れた器具であり、根管内の複雑な形状にも適応できます。ニッケルチタンファイルを使用することで、根管内の細かな部分にまで確実に届き、精密な清掃と処置を行うことが可能となります。
根管治療の流れ
1前処置
患者さまに快適な治療を提供するために、十分な麻酔を行います。そして、治療部位を隔離するためにラバーダムを装着します。
2根管内の洗浄・消毒
歯を削り、根管内の感染組織をファイルと呼ばれる器具で丁寧に取り除きます。その後、薬品で根管内を洗浄し、消毒を行い、根管の形状を整えます。最後に、根管内に消毒液が行き渡るように根管を封鎖します。
3根管内に充填剤を充填
根管内が清潔になったら、根管の隅々まで充填剤を詰めていきます。これにより、再感染を防ぐことができます。
4レントゲンで治療後の根管を確認
レントゲンを撮影して根管内の状態を確認します。根管内が適切に充填されているかどうかを確認し、治療の成功を確認します。
5被せ物の装着
歯の形態を整え、噛む力を回復させるために、土台を立てて被せ物を装着します。被せ物はむし歯の再発や歯の破折を防ぐ重要な役割を果たします。
6メインテナンス
当院では治療後のメインテナンスを重視しています。日常の歯磨きや定期的なメインテナンスを行うことで、治療後の歯を長く健康に保つことができます。歯のクリーニングや適切な歯磨き指導を行うことで、再感染や歯の損傷を防ぎ、歯の寿命を延ばします。